かつての私の部下に
強い情念を持つ女性がいました。情念とは、深く心に刻みこまれ、理性では抑えることのできない悲・喜・愛・憎・欲などの強い感情のことを指します。彼女のプライベートなことはひとまず置くとして、いつかその女性が、行きたいけどまったくチケットが取れないと言っていたものがありました。
鼓童(こどう) といいます。私のブログ愛読者の中にはすでにご存知の方もいるかもしれません。
佐渡に本拠地を置く和太鼓の集団です。「鼓童」とは、
人間の基本的なリズムである心臓の 「鼓動」 から音をとった名前で、それは大太鼓の響きこそ赤ちゃんがお母さんの胎内で聞いた最初の音、心臓の鼓動に他ならないという啓示からきているそうです。そして
「童」 のように何ものにもとらわれることなく、無心に太鼓をたたいていきたいという願いが込められているようです。
先日知人と昼ごはんを食べている時にこの鼓童の話をしました。私はその数日前に、都内で実演を見てきたものですから、
「躍動感」 をキーワードに鼓童の魅力を語ったのですが、体力勝負と繊細さは対極にあり、その鼓童とやらは、荒々しい祭り(例えば、岸和田のだんじり)のようなもので、
感情や感覚がこまやかなものを感じないと言われました。加えて、情念の強い人が憧れるものだろうと。そうか、そういうモノの見方があるのだなと学びました。

私が鼓童の躍動感にフォーカスしたために上述のようなイメージを与えてしまいましたが、
実際の鼓童って結構感情や感覚がこまやかなものなのです。演題によって、いつも大太鼓を褌姿でバチでたたいているだけではありません。私が今回の実演を観て驚いたのは
限りなく静寂に近い音(この演奏は高度な技が必要で繊細な音色は聴く者の心を洗ってくれます)から、稲妻のようにとどろく衝撃音までを自由自在に繰り出せる幅の広さです。 楽器も太鼓だけではなかったですし。確かに女性ファンは、
演者の肉体美を楽しみにしている人も多いと聞いています。2枚目の写真はそのイメージの典型でしょう。
だけど演者はかなりリズムの勉強をしていると思うな。素人では、音は出せてもあそこまで自由自在に太鼓を操れないと思います。とにかく私は感動しました。よろしかったら、皆さんもどうぞ。